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DATE: 2008/02/02(土)   CATEGORY: 田原総一朗
春の政局第二幕

田原総一朗の政財界「ここだけの話」 2008131

「つなぎ法案」取り下げで動き出した春の政局第二幕

 

ガソリン税などの暫定税率の期限を延長する「つなぎ法案」問題は30日、衆参議長のあっせんによって急きょ決着した。政府がこの法案を取り下げる代わりに、予算関連法案の年度内成立を事実上担保するという結末だ。

 

この法案は議員立法として提出されたものだが、政府は「60日ルール」で参議院から戻し、衆議院の「3分の2」を使って法案を成立させる構えだった。新聞各紙は一斉に“奇策”だと批判していた。

 

ガソリン税と道路特定財源問題

 

小泉内閣でも安倍内閣でも、ガソリン税などの道路特定財源を一般財源化するというのが構造改革を進めていく上での大前提だった。安倍内閣がつまずく大きな要因になったのは、この一般財源化を党内の反対勢力に押されてやめてしまったことだ。

 

反対したのは自民党経世会の道路族だ。これが安倍内閣のつまずきの始まりで、この次に郵政民営化法案に反対した議員を戻すことで、国民の信頼を完全に失った。

 

今回は、「つなぎ法案」を国会に提出するにあたって、道路特定財源化の一般財源化問題を自民党の中で審議すらしなかった。

 

なぜ暫定税率にこだわるのか

 

道路特定財源の一般財源化というのは、構造改革の重要な一角だ。これを審議すらしない。そして、「一般財源化しない」「ガソリン税の25円の暫定税率を10年間凍結する」と言う。これでは構造改革の逆行以外の何ものでもない。

 

道路特定財源の一般財源化の問題は、安倍内閣の時に一度はやろうとしていたことなのだから、当然自民党の議員の中にも一般財源化すべきだと考えている人は大勢いる。しかし、言い出せない。

 

なぜ言い出せないかと言うと、「地方が怖い」「土建屋さんが怖い」からだ。ひいてはそこにつながる選挙の「票を失うことが怖い」からだ。これは道路の問題というよりは、「利権の構造」の問題にほかならない。

 

攻める側の民主党も情けない。僕は民主党の勉強会で、「暫定税率25円については廃止なんかするな、これは一般財源すればいい」と言った。もともと民主党は「道路特定財源の一般財源化」と主張しているのだから、暫定税率にこだわらずに道路特定財源を一般財源化した方がいいのではないか、と言ったのだ。

 

民主党の議員も「その通りだ」と言った。でも、「その通りだが、小沢さんは言うことを聞かないでしょう」と付け加えた。ガソリン値下げを争点にして解散・総選挙を狙っている小沢さんを怒らせるだけというのだ。

 

つまりは小沢さんが怖いわけだ。今回の「つなぎ法案」が撤回されなかったら、道路特定財源の一般財源化問題すら国会で議論されなかったかもしれない。

 

自民党も民主党も、みんな内向きの論議になって、まともな審議を全くせずに、つまらない駆け引きばかりしている。これでは世界からどんどん見放されるだろう。

 

日本が発した強烈なメッセージ

 

今、世界同時株安が進行している。日本の株安もサブプライムローン問題の影響が大きいと言われている。だが、日本の場合はその問題だけではないと思う。それよりも今の日本の株安は、構造改革に日本がどんどん逆行していることに対して外国人投資家が失望しているという理由のほうが大きいのではないのか。

 

こういう政治状況が続けば、たとえサブプライムローン問題にケリがついても、日本の株は上がらないだろう。むしろ、今はサブプライムローンが大きな問題になっているので、「それを理由にできて救われている」くらいではないか。

 

サブプライムローンの問題に対して、ブッシュ大統領は、16兆円を投入したり、減税や金利を下げたりするなど、様々な対応策を打ち出している。ドイツのメルケル首相も、「あらゆることをやる」とメッセージを出した。

 

だが日本の首相は何も言わない。その代わり、世界に対して発したのは、「道路財源の一般財源化をやらない」、つまりは「構造改革をやらない」という強烈なメッセージだったのだ。これでは世界から見放されていくばかりだ。

 

知事たちのネットワークが政局を動かす

 

ガソリン税の暫定税率が争点にならなくなったことで、4月の解散・総選挙はなくなった。では今後の政局はどう動いていくのか。

 

いま政局を動かす大きな要因が二つある。一つは大連立だ。3月くらいになるとまた大連立の動きが出てくるのではないか。少なくとも今秋までは選挙がない。それでは攻める側の小沢さんとしては面白くない。中に入って壊したい。そうなると大連立だ。自民党もこれに乗るかもしれない。

 

もう一つは政界再編だ。大連立を機に、自民と民主がそれぞれ党を割るような形になって政界再編の動きが起こる可能性がある。

 

また、北川前三重県知事や東国原宮崎県知事の「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」など、地方からの動きもある。これは自民党や民主党の議員も取り込んでいく形で、政界再編にまで盛り上がる可能性もある。

 

27日の大阪府知事選挙で橋下徹さんが当選したのはタレントという面が強かったと思うが、それでも地方が注目されているのは確かだ。

 

東国原宮崎県知事もタレントということで当選したが、結果的には良くやった。観光客を増やし、それで県民から支持され、国民からも支持されるようになった。

 

こうした知事たちが発するメッセージが国民の心に響くかもしれない。そうなればやがてはそれが政界再編につながり、こう着した日本の政治状況を変えていくこともありうるだろう。

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