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DATE: 2008/02/02(土)   CATEGORY: 猪瀬直樹
「環境問題、東京は国の先を行く」

猪瀬直樹の「眼からウロコ」 2008131

ダボス会議でアピール、「環境問題、東京は国の先を行く」

 

1月24日木曜日から28日月曜日にかけて、ダボス会議に出席した。

 

「ダボス会議」は通称で、正式には世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)の年次総会である。WEF1971年の創設。例年1月下旬にスイスの保養地ダボスで総会を開催している。世界経済フォーラムに加盟する企業のトップ、政治家、学者、ジャーナリストなどの招待客2500人とその随行者が参加する。米国のライス国務長官や映画「不都合な真実」のアル・ゴア元副大統領、アフガニスタンのカルザイ大統領、U2のボノやビル・ゲイツなどの姿もみられた。

 

日本からは、厳しい国会日程の合間を縫って福田康夫首相がゼロ泊3日の強行日程で参加したほか中川秀直前自民党幹事長、塩崎恭久前官房長官、現職閣僚でも鴨下一郎環境相や甘利明経済産業大臣の姿がみえた。経済界からは、分権委員会の委員長でもある伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長のほか、国内外のトップ企業の経営者らが集まった。

 

21世紀は都市国家の時代

 

1月24日木曜日の正午にダボスへ出発した。パリでの乗り換えを含め、およそ13時間のフライトでチューリッヒに到着。その日はチューリヒ市内に宿泊し、翌25日金曜日に、クルマでダボスへ移動した。

 

25日は、午前中ダボスに到着。午後は、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部の藤崎一郎特命全権大使、宮川眞喜雄総領事と昼食後、「スリムシティー 都市における資源の効率性」と題されたセッションに参加した。企業のトップマネジメントや世界の大都市の首長が顔をそろえた。ケン・リビングストン・ロンドン市長がいる。ニューサム・サンフランシスコ市長がいる。夜は、ロンドン市が主催するオリンピックレセプションに参加してこの日は終了した。

 

26日は、午前9時から午前1015分まで、「スリムシティー 都市化を管理する」に参加した。同じようなタイトルだが、今度はオープンセッションなので聴衆が集まっている。午前1130分から1215分、福田首相の特別講演があった。これについては後で述べる。午後3時30分から日本経済の展望をさぐるセッション。タイトルはショッキングである。「日本 忘れられた力」では、竹中平蔵元総務相がコーディネーターで、中川前幹事長、丹羽会長、奥田碩経団連名誉会長、大橋洋治全日空会長と議論をした。

 

夜には東京都知事主催の「東京ナイト」。500人近い列席者を、僕は知事の代理のホスト役として迎えた。東京が「2020年までにCO2の排出量を25%削減する」とあらためて宣言した。日本政府は2050年までに50%削減すると宣言しているが、東京は一歩早く実現する。

 

ダボス会議での日程はこれですべて終了。翌27日日曜日の午前にダボスを発ち、チューリッヒを夕方に発つ飛行機で帰国の途についた。

 

成田空港には28日月曜日の午後4時前に着いた。僕はその足で、テレビ朝日の報道ステーションのスタジオへ向かった。都民、国民にいちはやく会議の内容を報告しなければいけないから。

 

古舘伊知郎キャスターから「何を議論したのでしょうか」と問われた。

 

猪瀬 環境問題に関して、「東京が日本全体よりも先に進んでいく」とアピールしてきました。2016年の東京オリンピックも、「環境のためにやるんだ」という意思表示をしました。前回の東京オリンピック、ソウルオリンピック、北京オリンピック……アジアで開催したこれまでのオリンピックは発展途上国型のものです。東京オリンピックはそれとはまったく違う。環境のための、地球温暖化対策のためのものでなければなりません。

 

 僕がセッションで提起したのは、「21世紀は都市国家の時代であるべきだ」ということ。19世紀と20世紀は国民国家の時代だった。現在、世界の全人口半分は都市にいるんですから。

 

古舘 都市には、非常に人間が集積している。クルマも混雑して、排気ガスをどんどん出している。そこに、人類の半分がいるわけです。都市もサミットのようなかたちで協力して、排気ガスの規制とか太陽光発電によってCO2をなくす努力をしていく必要がある。国がやることを待っていたら、おそらく温暖化は防ぐことができないだろうと……。

 

猪瀬 そうです。待ったなしですから。とにかく温暖化を阻止しないと、巡り巡って洪水がおきたり、作物が実らなくなったりすることになる。都市が地方に与えている環境面の被害を、都市で解決しなければいけないと思うんですね。

 

福田首相の演説は印象はまあまあだった、次回はもっと言い切ってほしい

26日土曜日には、福田首相が、北海道洞爺湖サミットの議長として特別講演を行った。温室効果ガスの世界全体の排出量を2050年までに半減すると長期目標を示すとともに、温室効果ガスの排出削減について国別総量目標を提案した。

 

猪瀬 日本は世界第2位の経済大国です。福田さんの演説は良い雰囲気でした。ジェントルマンにみえましたよ。ただし、もうちょっと言い切ってほしかったですね。

 

 WEFのクラウス・シュワブ会長が、「10年後に洞爺湖サミットを振り返ったとき、あのサミットはどういう意味を持っていたとあなたは思うでしょう」ということをパッと聞くんですよ。

 

 福田さんは、「それはみんなで話しあって……」と、いつもの日本人向けの言い方をしちゃった。やっぱり小泉さんみたいにワンフレーズで、「10年後の洞爺湖は、あのときのように霧がかかることなく、大気汚染がなくなってすっかりきれいになっている」とか言えばよかった。そういう切れ味を出してもらうとよかったですね。

 

古舘 猪瀬さん、その点は、作家でもある猪瀬さんがブレーンとして教えてあげなきゃダメじゃないですか。事前に。

 

猪瀬 それはアドリブの世界ですから、そこでパッと答えられないとダメ。でも、福田さんは多分、ダボスの雰囲気を強く感じたと思います。洞爺湖サミットではもっと言い切ってくれると期待したい。

 

僕がダボス会議で語り、聞いてきたこと。来週はもうすこし詳しく報告したい。

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