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DATE: 2008/07/03(木)   CATEGORY: 社説
年金新組織―改革の原点を忘れずに

 正規職員を今より2割減らし、懲戒処分歴のある職員を採用する場合は1年契約の有期雇用に――社会保険庁を解体して新たにつくる「日本年金機構」の姿について、有識者会議がそんな最終報告をまとめた。

 

 ほかに、正規職員のうち約千人を外部から採用▽厚生労働省からの腰掛け的な幹部の採用を認めない▽保険料未納者への督促などの業務も外部委託を進める、などの方針を示した。

 

 政府はこの内容に沿った基本計画を近く閣議決定し、2010年1月に新組織を発足させる考えだ。

 

 あきれるばかりの仕事ぶりだった社保庁は、根底からつくり変えなければならない。新組織には民間の力も借りて新しい空気を入れるべきだ。

 

 ただ、年金の記録がしっかり管理できるのか、保険料の未納に歯止めをかけ納付率を上げられるかという点から見ると、なお気がかりな点もある。

 

 そもそも、社保庁改革は「年金記録問題の全容も分からないのに拙速だ」という野党の反対を押し切って、昨年6月に国会で決まった。不安は的中し、宙に浮いた5千万件以外にも、紙台帳からの入力ミスが見つかるなど、問題は広がるばかりだ。

 

 舛添厚労相は「日本年金機構ができるまでに過去の問題はクリアしたい」と述べていたが、記録問題への対応が新組織へ持ち越されることは確実だ。

 

 とくに当面は、紙台帳との突き合わせなどによる記録の確認・修正に人手がかかる。人を減らし通常業務をこなしつつ、それをどう進めるか。

 

 新組織へ一新するには、できるだけ職員を入れ替え、合理化を進めることが大事だ。その一方で、年金の仕事は専門性も高く、移行職員を減らしすぎると仕事が滞る恐れがある。両者の兼ね合いは、よくよく考えなければならないだろう。

 

 記録問題の反省点として、社保庁の組織としての一体性のなさが無責任な体制を生んだ、と政府の年金記録問題検証委員会は指摘している。外部委託を増やして業務がいろいろな民間会社に分散した時に、そうした問題が再び発生しないよう、工夫を凝らさなければいけない。

 

 外部委託をする仕事には、保険料の未納者に対する督促や、免除手続きの勧奨も含まれる。経費削減を優先し、仕事の手を抜くことがないよう、どのように仕組みをつくるか。個人情報の取り扱いについて、国民の不安を取り除くことも課題だ。

 

 福田政権はこれらの点について目配りして、組織のあり方と運営方法を詰めていかなければならない。

 

 職員のリストラ、組織のスリム化は進んだけれど、肝心の年金業務はがたがた、というのでは困る。改革の原点を忘れないようにしたい。

 

/3 朝日新聞 社説

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