岳道の時事放談ですよ~ん
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【爺放談】目利き
2017.06/07 (Wed)
「批評の神様」といわれた小林秀雄さんに逸話が残るのは、ある夜、小林宅に2人組の強盗が押し入ったといい、枕元に立ち日本刀で頬をたたくと、目覚めた小林さんは慌てず騒がず一言-「なんだ、おまえら強盗かい」と、その鋭い眼光に圧倒されて、強盗は退散したという。交流のあった石原慎太郎さんが後日、本人に尋ねると、事もなげに「刀を見たら、手が震えてるんだ-素人だとわかったからね」と、骨董(こっとう)の目利きとしても知られた小林さん-瞬時に相手の本質を見抜く能力に脱帽したと、石原さんが自著「わが人生の時の人々」に記している。
一瞬にして骨董品や芸術品の真贋(しんがん)を見分ける専門家は研究の積み重ねはもちろん、特別な才能があるのではないか!テレビの人気番組「開運!なんでも鑑定団」を見て、いつもそんな思いにかられる。
だが、そうとも限らないのは、ちょっと古くなるが、神奈川県が所有していた棟方志功作の版画が、いつのまにかカラーコピーにすり替えられていた一件である。
いくら科学技術が進歩したからといっても、しょせんはコピーなのは、本物は和紙だったが、ニセ物は普通紙だったという!何度も専門家が目を通したはずなのに、どうして気づかなかったのか!不思議でしょうがない。
芸術品に限らず、ネット上では本当かうそか、すぐには判断できないニュースが飛び交う世の中である-真偽を見極める「目」を磨かなくてはならない。
