麻生内閣の発足に先立つ自民、公明両党の連立政権協議で、後期高齢者医療制度の見直しなどが合意された。
直前に舛添要一厚労相が制度の廃止論に言及し、与党内に混乱を生じたが、自民党の麻生太郎総裁も見直しの必要性を主張していることから「高齢者の心情に配慮し、より良い制度に改善する」との表現で連立政権合意に盛り込まれた。
制度への不満は今も残る。丁寧な説明と運用面の不備を正す努力は必要だが、批判をかわそうとするあまり、過剰な負担軽減策や制度の趣旨をゆがめるようなら有害でしかない。ましてや、選挙向けのばらまきの一環では困る。
麻生総裁は、元の制度に戻せば保険料が上がる人が多いとして、廃止論には慎重姿勢だが、高齢者を「75歳」で区切ることや保険料の年金天引き強制には強い疑問を呈している。
次期首相となる人物が「理屈は正しくても感情論として納得しにくい」と言うようでは、現行制度そのものを政府が責任と自信をもって運用していく気があるのか、誤解を招くだろう。
民主党などが通常国会に廃止法案を出して参院で可決した際、自民党は「廃止するだけでは無責任」と反論した。そのことを忘れたのか。
高齢者と現役世代の世代間対立を回避するうえでも、高齢者の感情論にばかり重きをおくような姿勢では解決につながるまい。
10月15日には新たに約600万人の保険料天引きが始まる。選挙向けの発言で、受給者や自治体の混乱拡大を招いてはならない。
連立政権合意には、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げる項目も入ったが、消費税率の引き上げはもとより、財源措置は明記されていない。
定額減税の着実な実行といった選挙向けのテーマが真っ先に盛り込まれているのに比べれば、社会保障政策の骨格についての連立政権合意があいまいな表現にとどまっているのは問題だ。
インド洋の給油支援について、活動継続を図る方針を確認したことは当然である。
だが、臨時国会での解散が予想される中で、新テロ対策特措法改正案の成立にめどは立っていない。麻生総裁と公明党の太田昭宏代表には、活動継続を担保する方策を示してほしい。
2008.9.24 産経新聞 主張