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DATE: 2008/10/04(土)   CATEGORY: 社説
年金記録改ざん 悪質事業主と結託した社保庁

 厚生年金の記録改ざんは相当に大きな規模で行われていたようだ。

 

 舛添厚生労働相は、社会保険庁のコンピューターで管理している厚生年金記録1億5000万件のうち、改ざんされた可能性のある不自然なものが、延べ143万件に上ることを明らかにした。

 

 しかも、記録がコンピューター化された1986年以降に限って判明した分に過ぎない。厚労省は実態をさらに調査して、速やかに開示すべきである。

 

 厚生年金の保険料は、企業と従業員が折半して納める。従業員の負担分は給料からの天引きだ。月給が高ければ保険料も高く、老後に受け取る年金も多い。

 

 ところが、天引き額に見合った納付記録になっていない、とはどういうことか。

 

 多くの場合、経営の苦しい企業が社保庁に対して、従業員の月給(標準報酬月額)を低く申告したと見られる。事業主は本来納めるべき保険料が安くなり、従業員から天引きした保険料も流用できるからだ。

 

 さらに、こうした行為を社保庁職員が黙認し、指導までしていた疑いが濃厚である。

 

 保険料を滞納している企業が、記録改ざんによって負担が軽減した結果、保険料を納めるようになれば社保庁の徴収実績は上がる。悪質な事業主と姑息(こそく)な社保庁職員の利害は一致する。

 

 舛添厚労相は「社保庁の組織的な関与があったと推量する」としている。だが、これほどの数で改ざんの可能性があるというのは、もはや推量の段階ではあるまい。社保庁の関与を徹底的に調査し、責任を追及する必要があろう。

 

 無論、最も大切なことは被害者の権利回復だ。

 

 まず、143万件の記録の持ち主、特に年金の受給が始まっている高齢者には早急に知らせる必要がある。改ざんがあれば、ただちに救済しなければならない。

 

 国民に対する年金記録確認の呼びかけも、一段と工夫が要る。

 

 現在届いている「ねんきん特別便」には、保険料を算定したその時々の標準報酬は記載がなく、改ざんされても気づきにくい。

 

 厚労省は、来年以降の「ねんきん定期便」には標準報酬を記載する方針だ。しかしそれでも、何十年も前の月給に不審な点があるかどうか、見極めることは容易ではないだろう。

 

 分かりやすい「定期便」にするために、幅広く知恵を募ることも必要だ。

 

2008年10月4日 読売新聞 社説

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