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DATE: 2008/10/04(土)   CATEGORY: コラム
寂しい空き地【春秋】

都会の空き地は2種類ある。ここに何が建つのだろう。しゃれた店か。立派な邸宅か。好奇心をかきたてる「楽しい空き地」である。もう一つは「寂しい空き地」。草ぼうぼうで、工事の気配もない。未来が見通せない心細げな空間だ。

 

漂う空気に敏感だからだろうか。子供たちは同じ空き地でも、無意識のうちに遊び場を選んでいる。いよいよ工事が始まるという現場を発見しては忍び込み、残された自由時間を惜しむように駆け回る。運び込まれた建材が格好の遊具となる。赤さびた古井戸のポンプが番人のように立つ土地は怖くて近寄らない。

 

米国では、不良資産に化けて買い手がつかなくなった住宅が不動産市場にあふれ出た。日本でも街を歩くと、板や鉄条網で囲われたままの更地が目につく。ネットで見る衛星写真に不安になる。灰色のビルが群れる都心部と、黒っぽい屋根が並ぶ住宅地帯。その地図を蝕(むしば)むように、赤茶の土色の点が増殖している。

 

解体業者の親方がこんな話をしてくれた。古い建築物を壊す時、心がチクリと痛むこともある。けれども新しく土地活用するためだと思えば、仕事は楽しい。このところ跡地に新しい建物の姿が現れなくなったのはどうしたことか――。このまま「寂しい空き地」だけが増えるならば、子供も大人も心は躍らない。【春秋】

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