振り込め詐欺撲滅月間【有明妙】
テレビの人気キャスターみのもんたさんが朝の自分の番組で大声を上げていた。「何だこれは!」。番組スタッフが手に入れたという振り込め詐欺のマニュアル。手口の巧みさに驚いているかと思いきや、その内容の稚拙さに「漢字ぐらいまともに書けよ」。
テレビに映し出されたその手書きマニュアルの誤字脱字の多さにこちらも笑ってしまった。「上場企業」が「上々企業」、「値上げ」が「直上げ」、「困った」が「固まった」に。やつらはこんなものを手に電話の向こうから善良な市民をだまし、大切なお金を巻き上げているのか。
家族の名をかたり、うそ泣きしながら「事故を起こした、どうしよう。会社に知られるとクビになる。示談金を貸して」などと大金の振り込みを誘導していく。こんなさもしい詐欺が世に知られて久しい。その度に注意を呼び掛けているのに相変わらず多発している。
全国一斉「振り込め詐欺撲滅月間」である。全国各地で被害防止のための啓発キャンペーンが展開されているが、きのうの本紙には警視庁警察官が警戒中の都内の現金自動預払機(ATM)で1日に4件、約750万円が被害に−という記事もあった。
対策をあざ笑うかのような不届きな犯行。恥を忍んで公表したという警視庁の不手際はともかく、どうしてこうも被害が多いのか。1年間に全国で二百数十億円、県内でも今年九月末現在で71件、約8800万円が詐取され、すでに昨年1年間の被害総額を上回っているという。少し冷静になれば見破られると思うのだが、そうはいかないのか。
うそ八百、元手なしの悪巧み。肉親の情愛の深さにつけ込み大切な“虎の子”をだまし取る心貧しきやからを許してはいけない。【有明妙】
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