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DATE: 2008/10/15(水)   CATEGORY: コラム
異動のはなむけ【編集手帳】

昔、江田島の海軍兵学校で部外の講師を招いて講演の最中、生徒のひとりがおならをした。教官が「いま屁(へ)をした者、出てこい」と言うと、5人の生徒が名乗り出たという。

 

「部外の先生がひどく感心した」と作家の阿川弘之さんが「海軍こぼれ話」(光文社)に書いている。場所も同じ、海の安全保障を担う志も同じでありながら、友を守るためならば身を捨てるのもいとわない高潔な伝統精神はどこに消えたのだろう。

 

広島県江田島市の海上自衛隊第1術科学校で先月、特別警備隊の養成課程に所属していた3等海曹(25)が、他の隊員15人を相手にした格闘訓練で殴られて転倒、頭を強打して死亡していたことが分かった。本来は1対1でする訓練である。

 

この海曹は「課程を続ける自信がない」と退校を希望し、別の部隊に異動が決まっていた。以前にも中途離脱する隊員が同様の訓練でけがをしている。逃げ出す奴(やつ)はこうなる、という見せしめの制裁でなくて何だろう。

 

「異動のはなむけの意味もあった」と、学校側は遺族に説明したという。集団リンチを今生(こんじょう)の思い出に冥土へ旅立たせたと、そう言うのか。【編集手帳】

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