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DATE: 2008/10/15(水)   CATEGORY: コラム
未来技術遺産【余禄】

半世紀前、繁華街や遊園地に置かれたジュースの販売機が、子供たちの人気を集めた。頭がしびれるほどの冷たさが珍しかったせいもある。なにより、ジュースがガラスのボトルに噴き出し、硬貨を入れればコップにきっちりの量が出てくるからくりが、幼い好奇心をくすぐったからに違いない。

 

1957年に星崎電機(現・ホシザキ電機)が開発した「噴水型飲料用自動販売機」だ。今日の自販機文化の先駆けとして、国立科学博物館が今年創設した未来技術遺産に登録した。一杯のジュースが、科学への関心をはぐくんだのかも、と考えると胸が躍る。

 

同時に登録されたのは「答え一発!」で親しまれた小型電卓カシオミニや、家庭用録画の世界標準になった日本ビクターのVHSビデオなど、なじみ深いものが多い。いまの世代が胸を張って後世に伝えるものはなんだろう。

 

先端技術を集めたパソコンやケータイだって、新しい機能が登場しても驚きがなくなった。国は理系教育に力を入れ、科学技術の進化を経済再成長につなげようともくろむ。だが、基礎をおろそかにして、小手先の応用を学ぶだけでは意味がない。

 

「もっと根本原理に迫る研究者が出てきてほしい」。今年のノーベル化学賞に決まった下村脩さんの言葉だ。原爆被爆後の長崎で学生時代を送った下村さんは「学校で学んだことは少ない。自分で得ることが大切だ」と語る。

 

いつ、どんな環境でも、興味を持ったものを追いかけ、考えてみるのが第一歩だ。物理学賞の益川敏英さんはなお「アインシュタインの向こうを狙っている」という。大きな夢を掲げ続けることも欠かせない資質なのだろう。【余禄】

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