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DATE: 2008/11/28(金)   CATEGORY: コラム
宗教間の相克【中日春秋】

アジアの二国で、穏やかなキャッチフレーズとは裏腹な事態の続発である。「ほほ笑みの国」タイで、反政府市民団体による空港の占拠事件が起きているのに続き、「悠久の国」インドで血みどろの同時テロが発生した。

 

惨劇の舞台となったのは、映画産業の都として「ボリウッド」の異称もあるムンバイ。ホテルなど十カ所で爆発や銃撃があり、日本人を含む百人以上の死者が出ているという。

 

近年は、IT(情報技術)を軸に経済成長著しい国とのイメージもある同国。だが、ともに先鋭化するヒンズー教とイスラム教間の軋轢(あつれき)は深刻化しており、その対立を背景とする事件も続発しているのが実情だ。

 

今回はイスラム過激派を思わせる名のグループが犯行声明を出した。英米人を狙ったとの情報もあり、キリスト教などを敵視するアルカイダの影響も考えられている。いずれ、根にあるのは宗教間の相克であろう。

 

「違い」を「正邪」に帰してしまうが故の悲劇の繰り返しにやるせなさが募るが、中島岳志著『インドの時代』で、あるヒンズー教の僧侶は「木に学べ」と語る。木は自分が正しい、よいことをしているなどと考えもせず、ただ在り、人に木陰を、鳥に実を与える、と。

 

その、美しい響きを持つ言葉は<心の平穏を含めた広義の『平和』>の意という。僧侶はこう表現する。木は<常にシャーンティーです>。【中日春秋】

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