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DATE: 2008/12/22(月)   CATEGORY: コラム
いい仕事をするための動機【春秋】

宴会の季節。カラオケのマイクを握る機会も増えよう。カラオケの市場規模はCDの2倍を超え、海外にも広がる。発明者はさぞ笑いが止まらないのでは。そんなさもしい想像が全く間違いだと、音楽界に詳しい烏賀陽弘道氏の近著「カラオケ秘史」で知った。

 

そもそもカラオケには「発明者の栄冠を独占できる人がいない」。再生機。課金の仕組み。歌うための空間の提供。オンライン配信。それぞれの1番乗りが、時に複数いる。素人でも歌いやすく工夫した伴奏テープを思いついたのは元流しの演奏家だった男性だ。彼らのなかに特許で大もうけした人はいないという。

 

権利を巡るいざこざがないことも大手資本の参入と普及を後押しした。「発明者」の1人は「私は既にあったものをつなげただけ。発明者なんてくすぐったい」と笑う。日本初のカラオケボックスを作った岡山の弁当店主は「全国の皆さんが楽しんでくれればええ」。今も同じ弁当店を営む。

 

巨額の報酬を追い求め世界を混乱させている米国の金融界とはあまりにも対照的だ。同じ米国でもアップルコンピュータ創業者の1人、ウォズニアック氏は専ら独創的なものづくりを楽しんだ。自分の株は大勢の部下に安く譲り、ささやかな家を買って満足していたという。いい仕事をするための動機とは何だろう。【春秋】

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