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DATE: 2009/01/04(日)   CATEGORY: コラム
「あなたの楽しみは」【中日春秋】

「あなたの楽しみは」と聞かれて、いくつ挙げることができるだろう。新年の晴れがましい気分で考えたとしても、二けたに乗せるのはかなり難しい。

 

ここは江戸時代末期の歌人で、後に正岡子規に絶賛された橘曙覧(たちばなのあけみ)に教えを請う必要がある。なぜならば『独楽吟』と題した連作で<たのしみは…とき>と繰り返す五十二首もの作品を残している。

 

いくつか紹介しよう。<たのしみは/朝おきいでて/昨日まで/無かりし花の/咲ける見る時>。この一首は天皇訪米の際、当時のクリントン大統領が歓迎式典で引用したことで知られている。誰の身にも起きる日常の小さな出来事に、楽しみを感じている。すべての歌に共通する味わいである。

 

<たのしみは/心をおかぬ/友どちと/笑ひかたりて/腹をよるとき><たのしみは/つねに好める/焼豆腐/うまく烹(に)たてて/食はせけるとき><たのしみは/空暖かに/うち晴れし/春秋の日に/出でありく時>。つい、うなずいてしまう。

 

作家の新井満さんは自著で曙覧を<幸せさがしの達人>と呼び、その域に近づくための第一歩は<つねに五感を全開にして/かすかな変化を見逃さないこと>と説いている。

 

見習うことができないはずはない。今までが未熟だとしたら、その分だけたくさんの楽しみをこれから見つけることができる。こう考えると何やら楽しくなる。【中日春秋】

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