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DATE: 2009/01/12(月)   CATEGORY: コラム
鍋は、「暖かい」だけでなく「温かい」【中日春秋】
鍋料理、などといえば、どこか他人行儀。単に鍋、と呼びたい。やはり、一等おいしいのは今の季節だ。

よその国では、中国や朝鮮半島に何種かと西欧にフォンデュを数えるぐらいのものだが、わが国には実にさまざまな鍋がある。水炊き、寄せ鍋、すき焼き、湯豆腐、しゃぶしゃぶ…。それぞれ魅力があるが、鍋にはほかにもいいことがあるらしい。

最近、新聞で読んだが、家庭の暖房費の節約にもなるのだとか。食酢最大手のミツカンなどが室内の気温を二十二度に保つようエアコンを設定した上で、普通の料理と、ガスこんろを使う鍋をして消費電力量を比べた。すると仮に三時間鍋をすれば、一日で百二十円ほどの節約になるとの結果が出たという。

おいしい上に、もし省エネにもなるのなら結構な話だが、鍋の真骨頂は、場に和気藹々(わきあいあい)の空気をつくり出すところだろう。何せ、何人かが各人直箸(じかばし)で一つ鍋をつつきあうのである。黙々と、という食べ方にはまずならない。

「まだ早い」「いやもう煮えてる」などと牽制(けんせい)もしあって、自然とにぎやかになる。<なまにゑな内(うち)になくなる小鍋立(こなべだて)>とは江戸の川柳。時に具の取り合いで小競り合いも起きようが、なに、それもまた鍋のうち。

知る限り、「囲む」という動詞が「食べる」ことを意味する料理は、鍋をおいてほかにない。鍋は、「暖かい」だけでなく「温かい」。
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